散文

【散文01】「母は強し。世間が思う一千万倍。」

母は強し。世間が思う一千万倍。

子供を産んで5年が経った。

ぬいぐるみを片手に寝ている息子を眺めていてふと3年前のことを思い出した。

2歳の誕生日を迎えた息子はイヤイヤ期の真っ最中で、息子が産まれる直前に離婚してシングルマザーになった私は、息子をひとりで育てることに限界を迎えていた。

食べないのに欲しがる朝ごはんを作り、テーブルに並べた直後にひっくり返される。

なんの前触れもなく癇癪を起こし、息子が持っていたトミカが私の顔めがけて飛んでくる。

スーパーではお菓子の袋を手にして離さず、家に帰って袋を開ければ中身は粉々になっていて、それを見て息子は大泣きする。

お風呂に入るだけで30分以上も宥め続けなければならず、やっと入れたかと思えば顔に水がついてまた大泣きする。

当時の私には何の余裕もなく、ただ忙しなく1日が過ぎていくだけだった。

「助けてください」と母に連絡したあの日を思い出す。

「明日の朝行きます」とすぐに返信が来て泣き出してしまったのを覚えている。

私と同じシングルマザーだった母はこんな大変な状況を乗り越えていたのだと、母の偉大さを実感した。

母親は「家」という密室の中で独り闘っている。

母は強し。世間が思う一千万倍。

お母さん、ありがとう。

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